物心ついたころから18歳まで、舞台の世界で生きてきました。バレエやダンスのお稽古が、私にとっての教育の場だったなぁとつくづく思います。学校なんかよりもずっと私を育ててくれた場所だと思っています。
芸事の世界は礼儀が基本
実力主義の世界ではあるものの、そこにいるのはやっぱり「人」なので、礼儀作法もとても重んじられる世界です。ご挨拶や敬語を使った話し方なんかは、学校で習うよりもずっと前に身についていたように思います。小さい頃から舞台を通してあらゆる年代あらゆる立場の方とご一緒させてもらい、先生や先輩の姿を見て、真似するように学んできたからです。
先生にもよりますが、「ご挨拶がきちんと出来ない人はレッスンに参加しなくてよろしい!」といったいようなもんです。連絡のまめさや丁寧さも、信頼関係を築いていくうえでとても大事でした。そういったことはあまり言葉では褒めてはもらえません。小さな子どもであっても、やって当然だからです。でも人は見ているし、ずっと覚えているもの。きちんと「教育」してくださる先生方に巡り合えてよかったと感謝しています。
実力主義と嫉妬
人間関係の複雑さのなかで、揉みに揉まれたというのも、私を育ててくれた要素だと思っています。明るい話題ではありませんが…。
ご想像通り嫉妬うごめく世界です。小学校の頃からイジメにも合っていましたし、生徒どうしだけではなくそこに親も絡んでくるので、まぁややこしい(笑) 日本特有かもしれませんが、どこにいっても年功序列の文化はあります。なおかつ、芸術の世界=実力主義なので、先輩を敬いつつも下剋上なんてよくあるし、まぁドロドロです。
小学校4年生にして「女は信じない」なんて言ってたので、かなりませてますね(笑)お陰様で、周りの様子に注意して、空気を読む訓練になったと思っています。
厳しいのは出来るから
「優しくされるのは自分が出来ているからではなく見放されているのだ」、と自分の経験を通して発見したことも大きかったです。先生に何も言われないことが一番怖い。レッスンの度にそう思っていました。
怒られて平気なわけではありません。悔しくて、涙が出てきて、それでも泣いたら躍らせてもらえないから、泣いていることに気がつかないふりをして…。でも、そんなときも、出来ないことなら言われないんだ!頑張って練習すれば出来るはずだ!と、自分を鼓舞していました。
大人になってまで、誰かに怒ってもらえることを期待してはいけないとは思います。ただ、厳しいことを突きつけられた時は、ラッキーだし感謝だし、成長できると言ってもらえているようなものです。わざわざ耳に痛いことは言う側もエネルギーを使いますし、諦められていたら誰も何も言ってくれませんから。
他にもたくさん
どうやって自主練習するか考えたり、どうやって役作りをしようかと情報を集めたり、お稽古場以外でも頭を使うことも多かったです。学校でしか勉強できないこともありますが、私にはバレエやダンスという学び舎のお陰で得られた経験も沢山あります。
HANAE