経験者は語る 拒食症の段階的症状

17歳の時、舞台活動にストイックになりすぎて、結果、拒食症になりました。あくまで個人的な経験ですが、私の身に起こったことをご紹介します。

食べることが悪になる

出演する舞台を控え、思春期のふっくらした身体をどうにかしたいと、無理なダイエットをはじめたことが拒食症のきっかけでした。

はじめは両親が協力的だったのですが、次第に私ひとりが狂ったように食べることに対して過敏になっていったのでした。何を食べるにも必ずカロリーを計算し、油分のあるものは徹底的に排除。そうやっていくと、食べること自体が嫌になっていきます。飲み込んで体に何かを入れることが、いけない行為のように感じました。

ちょうどそのころは年末年始で、親戚巡りの時期とかぶっていました。親戚の前で何も食べないのは両親の顔が立たないと思い、一旦は全員と同じように食事をしました。そして様子を見て、トイレやお風呂で、喉に指を突っ込んで戻しました。

今考えるとゾッとしますが、当時の自分としては「食べる行為はいけないのだから、少しくらい気持ち悪い思いをしても仕方ない」と思っていました。

数字に取りつかれる

カロリー計算をし続けていると、食べ物や飲み物を見るだけで、カロリー数値がまるで浮かんでくるかのごとく見えるようになってきます。数字に取りつかれたかのようでした。

水なら0キロカロリーだし、おにぎりならおよそ200キロカロリー、というのが食べ物の上に浮かんで見えます。怖かった…。

また体重測定を続けていると、体型や見た目などは信用できなくなり、数値が絶対的だと思うようになります。毎日数ミリグラムでも減らないと自己嫌悪です。体重が変わらないとすごく落ち込みます。

むしろ食べ物に固執する

食べ物を忌避しているはずが、不思議と、どこにいても一番はじめに目に入るのが食べ物関連のことになってきます。街中を歩いていても、レストランやカフェの看板が目立って見えてくるのです。

だからと言って、店に入るわけではありません。ただ、ボケっとメニューを見つめるだけです。食べたいという気持ちとは全く違います。食べたくないのに気になるのです。

飲み物でさえ気を遣う

だんだんと固形物を食べなくなると、今度は身体に入ってくるものすべてに疑わしくなってきます。飲み物であっても、です。薬でも、これ何キロカロリー?なんて聞いていたことを思い出すと、本当に変な感覚だったなぁと…。

結果、3カ月で10㎏以上、体重が落ちてしまいました。当時の身長体重でBMI計算をすると、低体重の警告が出ます。

生気がなくなる

生きている実感が薄くなっていく感覚です。生きるための栄養が足りないのですから、当然と言えば当然。思い出せることもありますが、なんとなく、その時期だけ記憶がうっすらしている気がします。

完全に気力だけで生きていました。舞台があるから痩せようとしているんだから、痩せることが目的じゃないから、と言い聞かせていました。元気に動けないと意味がないだろ、と。

もうあんなに苦しいことはできないです。

どう回復した?

別の記事でもご紹介していますが、最終的に過労で救急搬送されたことがきっかけで、自宅療養に入りました。身体を自力で動かすことも出来ず、少しずつ流動食を家族に食べさせてもらい、食べるということに心と身体を馴らしていきました。

あれほど自分を大事にしない行為はないと思います。食べることは生きること。気持ちがふさいでも何があっても、食べる行為は絶対にサボってはいけないと思います。

HANAE